【特集】2026年のUAP開示、8か月で何が変わったか 公開ファイル約380点・NDA免除メモ・AARO年次報告を整理
米政府のUAP(未確認異常現象)情報公開は2026年1月の大統領令から始まり、8月までに公開ファイルは5回・約380点に達しました。制度・文書・年次報告の3つの流れを、公的資料と各社報道をもとに編集部が時系列で整理します。
2026年1月、トランプ大統領がUAP(未確認異常現象)関連文書の公開を各省庁に指示する大統領令に署名し、2月には「PURSUE(UAP遭遇に関する大統領主導の開封・報告制度)」タスクフォースの設置が発表されました。米法律事務所DLAパイパーが2026年8月12日に公表した解説をもとに整理すると、この枠組みが2026年の開示を動かしてきた土台です。
5月から8月で5回、公開ファイルは約380点
国防総省(Department of War)は5月以降、PURSUEデータベースを通じて段階的にファイルを公開してきました。UAP専門サイト「UAP Global」の集計によれば内訳は次の通りです。第1弾=5月8日・約160点(データベース公開)。第2弾=5月22日・64点(1948〜50年にサンディア基地周辺で報告された緑色の光球・円盤・火球209件をまとめた116ページの資料を含む)。第3弾=6月12日・72点(2008年のジンバブエ・ハラレ上空の円盤、2024年の米北東部の光球などCIA・FBI報告)。第4弾=7月10日・40点(うち動画19本)。第5弾=8月7日・41点。
CBSニュースが8月7日に報じたところでは、第5弾は国防総省・FBI・CIA・国務省・大統領府に由来する1950年から2026年までの資料で、2021年9月にオマーン湾で特殊作戦部隊が実弾演習中に「約25回のUAP事象」を観測した映像6本、黒塗り入りのFBI聴取記録(302報告書)8通と似顔絵、2002年にアフガニスタン上空で巨大な三角形を目撃した元軍パイロットの証言などが含まれます。国防総省は今後も「ローリングベースで」追加公開するとしています。
AARO年次報告 319件のうち解決は114件
文書公開と並行して、国防総省の全領域異常解決局(AARO)が2026年7月21日、2025会計年度の年次報告を公開しました。法定期限から数か月遅れの公表です。対象期間は2024年6月2日〜2025年5月30日で、新規報告は319件(当該期間の事案284件+過去の未報告35件)。このうち114件と、過去に報告された256件を合わせた計370件を解決し、いずれも気球・鳥・衛星・航空機・無人機・ロケット打ち上げ、さらには有人ジェットパックといった通常の原因に帰着したとしています。
宇宙領域の44件(42件はFAAのパイロット報告、2件は米宇宙軍)は3次元モデリングの結果、「衛星が反射した太陽光と整合する」と判定されました。報告件数は前年度の757件から大きく減っていますが、前年度は過去のFAAデータの積み残しを一括処理した影響が大きいとされます。継続調査は9件で、AAROは「高度な外国技術の証拠は見つかっていない」との立場を崩していません。
バージニア沖の「約100個」
この年次報告で唯一の海洋領域案件として記載されたのが、バージニア州沖で活動していた米海軍部隊からの報告です。防衛系メディア「DefenseScoop」が7月21日に報じた引用によれば、報告は「約100個の空中UAPと、無人とみられる水上航走体2隻」を記述していました。AAROは報告元の海軍部隊と連携して調査中としつつ、「適時かつ実用的なセンサーデータの不足が、案件を解決する能力を制約し続けている」と記しています。
7月31日、NDAの壁が外れた
制度面で最も大きかったのは、国家情報長官室(ODNI)が7月31日付でCIA長官ら情報機関の長に宛てて発出した暫定ガイダンスです。DLAパイパーの解説によれば、この文書は「過去の秘密保持契約(NDA)、宣誓、約束にかかわらず」、現職・元職の政府職員および契約業者がUAP情報をAAROまたはPURSUEタスクフォースの指定担当者に開示できる手続きを整えるよう各機関に指示しました。受領から30日以内にODNIと調整してPURSUE指定担当者を置き、「従来のNDAはもはやこうした開示を制限しない」ことを職員に周知することも求めています。契約業者の扱いを含む詳細な手続きは、追加ガイダンス待ちの状態です。
それでも埋まっていない空白
一方で、この8か月間に米政府が「UAPの一部は非人間起源である」と公式に認めた事実はありません。8月には、公開された映像112本を解析した研究者らが「現状の映像だけでは異常な速度は証明できない」と結論づけ、1950年代の写真乾板に人工衛星以前の人工物を見たとする論文にも査読誌で反証が出ました。英国では、ファイブ・アイズのUAP協力をめぐる国防省の議会答弁に労働党議員が「確実に欺かれた」と反発しています。大統領演説の準備が報じられてはいますが、2026年9月1日時点で実施はされていません。
編集部注:本記事は2026年1月〜8月の公的資料と各社報道をもとに、編集部が時系列で整理したまとめです。個々の出来事の出典は本文中に明記しました。公開ファイルの点数はUAP Globalの集計に基づく概数で、国防総省の公式カウントと一致しない場合があります。
出典: CBS News ほか (本文は同出典の報道内容を編集部が要約したものです)
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