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研究者が「PURSUE」公開映像112本を解析 「今のままでは異常な速度は証明できない」

2026-08-12 38 views 0コメント

天文学者のジェイコブ・ハック=ミスラ氏とラビ・コッパラプ氏が2026年8月12日、米国防総省のUAP資料公開プロジェクト「PURSUE」で公開されたセンサー映像112本を解析した論文をarXivに投稿しました。結論は「現状の映像だけでは物体の速度を求められず、異常な運動を示すとは言えない」というものです。

論文が対象にしたのは、2025年末から2026年半ばまでの5回の公開で出そろったセンサー映像112本です。内訳は、物体が画面を横切る「トランジット」型が43本、センサーが物体を追尾する「トラック」型が33本、両方の性質を持つものが36本とされています。

速度を出すには4つの数字が要る

映像の中で物体が動く速さは「1フレームあたり何ピクセル」という形で測れます。しかし、それを時速や音速に換算するには、(1)物体までの距離、(2)撮影している機体自身の速度、(3)物体の進路と観測者との角度、(4)カメラの画角――の4つが必要です。著者らは、PURSUEで公開された映像のうち、この4つがそろっているものは1本もないと指摘しています。画面に表示される方位・仰角のテレメトリーは全映像で黒塗りか非表示、機体速度もレーダーによる距離情報も添えられていません。

「近くを飛ぶ鳥」と「1km先をマッハ5」が区別できない

最も条件が良かったのが、角度目盛りが画面に残っていた赤外線映像「DOW-UAP-PR113」です。著者らは目盛りからカメラの画角を約54度と復元し、物体が約0.1秒間に1フレームあたり142ピクセル動いたこと、角速度が毎秒2.10ラジアンであることまでは求めました。それでも、この数字だけでは「センサーのすぐそばを横切った鳥」と「1キロ先をマッハ5で飛ぶ大型の機体」を区別できないといいます。角速度が同じでも、距離が分からなければ実際の速度は決まらないためです。

もう1本、「DOW-UAP-PR149」では画面内に大きさの分かる艦船が写り込んでおり、それを物差しにして相対速度を見積もることができました。物体は1秒あたり艦の長さの0.657〜0.689倍を移動しており、相対速度は毎秒99〜132メートル(およそマッハ0.3〜0.4)。ただしこれも距離比が不明なため「上限値」にとどまり、少なくともこの事案については極端な速度は出ていないことになります。

著者らが政府に求めた3つのデータ

論文は、映像を追加公開する際にあわせて出すべきものとして、(1)飛行記録に残っている自機の速度、(2)画角と視線方向を示すセンサーのメタデータ、(3)距離の記録またはレーダー航跡の3点を挙げています。そのうえで「これ以上のデータがないまま、この映像群から運動の限界値を導こうとしても有用な結果は得られそうにない」と結論づけました。逆に言えば、既に存在するはずのこれらの記録を添えるだけで、映像の物体が本当に異常な運動をしていたのかどうかを判定できるようになる、というのが著者らの主張です。

編集部注:本記事は査読前のプレプリント論文(arXiv)を紹介するものです。論文はUAPの正体を否定するものではなく、公開された映像だけでは判定できないという方法論上の限界を指摘した内容です。

出典: arXiv:2608.12445(Jacob Haqq-Misra, Ravi Kopparapu) (本文は同出典の報道内容を編集部が要約したものです)

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